三島の民話 下駄のばけもの

下駄のばけもの

昔むが~し、あるところにじい様とばあ様おらったどぉ。二人は、めんこぉい孫娘育てらったどぉ。したがなぁ、困ったことに孫娘は物粗末にしてしかたなかっただどぉ。盆になっからどって、お盆用に赤い緒のぽっくり下駄かってやっと、すぐはき出して無くして来る。そいがら「買って買って~赤いがな」どってせがむがぁ仕方なく買ってやっと、ぶっくっちゃどが、無くしただどが言うだと。本当に困ってばあ様は「にしゃは、すぐ無くしっちまう。困った子だな。今までいくつ無くしたどっせ。あとはかってくれらんにぇがら探してこいよ」そう言ってもヤダヤダとダダこねんだとぉ。なじょうしたら良いもんだかほとほと困っていると、ある夜ばあ様と孫が寝てる軒下で気味の悪いうたが聞けぇだどぉ。

 つらにまなぐがみっつある~はっかけひっかけ歯がいっぽんカッカッカァ~カッカッカァ~

「おっかねぇ~ばあや~」孫はおっかながってんが、ばあ様は「ほぉらみてみんべぇ」孫とまど下見てみっと、ヤレヤレ、下駄の化け物が大勢で踊っていたどぉ。

つらにまなぐがみっつある~はっかけひっかけ歯がいっぽんカッカッカァ~カッカッカァ~

じっと見ていた孫はばあ様の手ギュ~ッとにぎってないたどぉ。ばあ様は孫の頭をなでてやったどっせ。それからちゅうもの孫娘は物を大事にする、とでもいい子になったどぉ。

ざーとむかし、さげぇもうした。