瓜姫

あるところにじー様とばー様がいだど。子どもが出来なくて寂しく暮らしていだど。じー様は山さ木切り、ばー様は川さいっつものように洗濯に行ったど。何げなく洗っていだら川上から小さな小箱が流れてくっから。「小箱きしょれきしょれ」。手でカポカポひっぱったれば、岸さ寄ったど。やれなんだべぇと思って蓋とって見たれば瓜ひとつ入っていだど。ばー様「これはよかった。じー様腹減らしてこべぇがら二人で食うべぇ」と思って家さ来たど。しばらくしたらじー様山がら来たど。「じー様早くはいらせぇ。腹減ったべぇ。俺洗濯しったらおがしな箱流っち来たど思って拾い上げてみだれば瓜入っていだがら切って食うべぇ」まな板さあげて包丁かけたれば中からややっこが出てきたど。女の子であったど。「ああ～ら良かったおらだつ子持たづだがぁ神さまのお授けだぁ」大喜びで瓜姫と名付けて大事に大事に育てたど。だんだんずなぐなって三人で賑やかに暮らしていだど。したれば瓜姫がはた織ってみたいなんていうもんだがらじー様ははた織できるようにこさえてくっちゃど。毎日トントンカラリと織ってだど。

ある日いつものようにじー様ばー様出ていくに「瓜姫山からアマノジャクが来っかもしんにぇがら戸は決して開けんなよ」って出て行ったど。したればちげぇねぇ。アマノジャクが来て「瓜姫はた織り見でぇがら一本指入るほど開けてくろぉ」づぅ「開けらんにぇ」「開けてくろぉ」づぅ開けてやっと「頭入るほど開けてくろぉ」づぅ。こんだ「体入るほどぉ」なんてきかねぇがら負けて開けたらばガラリ開けて瓜姫んどごむしゃむしゃ食ってアマノジャクは山さ行っつまったど。そこさじー様ばー様一足遅く帰って来て「瓜姫瓜姫今来たぁ」って見たげんじょ瓜姫はくわっちぇしまって「あんなに戸を開けんなよって言ったのにおらだづ遅がったから悪がったぁ」二人は泣いても泣いても帰って来ない。本当に楽しかった夢と思って仕方なく二人仲良く暮らしたっけどぉ

ざ～っと昔、さげぇだ