三島の民話 親ぼうさまのあめ

親ぼうさまのあめ

むかし昔 あったどぉ。山のお寺さ 親ぼう様ど小坊主ど やったどぉ

親ぼう様は よぐよぐのけちんぼでらったどぉ。んじゃがら 小坊主さ食い物くっちゃぐなくて、じっき何でも 隠してっけど。

んじゃがなぁ~小坊主どきたら、ながながの頭良いがんで 親ぼう様時々やらっちぇまってだどぉ。

さで ある日のごどだ~ 親ぼう様、村さでがげでやったどぎ、水あめ敏さ買ってきて、ひとんじぇなめったど。

今日は村の法要さ行がなんねぇがら、心配ぇで心配ぇで 小坊主呼ぶと

「これはな大事ながな入ってんだがら、いずってなんねぇぞ」ったど

いずってなんねって言われっと、いずっちゃくて ふた開けて見たど。

トロ~~ンとした飴だ。小坊主は人差し指でペロ~ンペロ~ン なめだ。

「あーーんめぇ、んめぇなぁ」んまくて んまくて とうとうかめっこの底まで、なめっちまったど。小坊主は、親ぼう様が帰る前ぇに本尊様の口さ、ぺタペタ飴くっつげで置いだどぉ。

親ぼう様 法要がらもどってくっと、さっさど流しさ行って

「こぉら 大事ながな、にし なめっつまったなぁ」ったど

「いや~ おらぁ 知らねぇがらっし」

「何 しゃばぐっちぇんだぁ。にし なめるほがあんめぇ。誰なめる」

親ぼう様 すっかんかんにおごったどぉ

「おれではねぇだがら、本尊様んねぇの。行ってみらんしょ」ったら

「ほ~ら 見らんしょ。本尊様さ飴くっついでる」

「馬鹿こけぇ~本尊様がなめるよ~あっかせぇ」親ぼう様おごったど

「ぼう様、本尊様にそういねぇ。悪いごどしたがら、お仕置きに火さあぶって、池さぼっこんでみらっしぇ」ったど。

したらば、本尊様「くった くった」どって言っただどぉ。

ざっとむかし さげえだ

元話 故秦テイさん(大石田)

   故秦キノイさん(大石田)

   秦ハルヨさん(大石田)

再話 五十嵐七重さん(西 方)