三島の民話 サルとカエルの餅争い

サルとカエルの餅争い

 あったどー。

 おらほうは毎どし、毎どし、山の神講つうのやんのな。村中の達ぇが集まって、餅ついでぇ飲んだり食ったり、一日中にぎやがなだ~。

 さで、村のうっしょの山でサルどカエルどいだ。

「サルどの、にぎやかに餅つきはしまったぞぉ」

「ん、カエル。おらだれも餅ごっつぉになっか?」

「食いでな~おら。だ~だの白餅良いなぁ」

「ん、カエル。耳かせ、クショクショ」

ったらカエル

「オオー、やんべやんべぇ」

ったど。サルは賢ぇがらカエルさ

「にしは井戸さ飛び込んで泣げ、人だれ井戸さ来た

ら俺臼ごどしょって、この山さもどって食うべ」

つうわげや。

 さで、ボチャーーン井戸さおっちぇカエルも泣いだも。村の達ぇ集まって、子ども落っちゃどもって騒いでる内、サル臼ごと背負って登ってったぁど。

 ハァハァ言い言いカエル来て

「ああ、うまぐいったなぁ、食うべ」

ったらサル

「ここでは、んまぐねぇ。ここがら臼ころがして先に臼めっけだ者が食うべ」

って言ったど。カエルは我が負げんのわがってっから

「やだーやだ、ここで食うべぇ」

つってもサルはころばしちまってペーン、ペーン跳んでっつまった。

 カエルはがっくらして・・・降っちぇったら餅~臼がら飛び出て落ちてだど

「ああーよがったぁ。ああーーんめぇ」

つうど餅

 ひっぱりひっぱり テーカテカ

 ひっぱりひっぱり テーカテカ

目ん玉テカテカ、喜んで食ってだらサル、ヒーヒーど戻って来て

「あーーっ、カエル、俺さも餅くろ!」

「あーがんべぇ」

「なぁで、カエル、俺さも餅くろ!」

あんまりしつこいがら

「ほ~ら食えっ!」つうど土のついだアッチチどご

「ピターーン!ピターーン!」

サルの顔ど尻さぶっつげだど。そんじぇ、今でもサルの顔ど尻は赤いだどよ。ざっとむかし栄え申した。

元話  昭和五十四年高清水談話から

再話 五十嵐 七重さん(西方)