虫送り(名入)


mushiokuri_nairi

 サナブリに行うことが多い。日取りは子どもたちが決めていた時代もあったが、近年は6月の第2土、日曜日のいずれかが多い、養蚕(ようさん)が盛んな時期は6月下旬の春蚕終了後に行うこともあった。平成24年、25年は6月の第3土曜日に行っている。
 中学生が行事の主体となり、年長者が指導している。あらかじめ虫籠(むしかご)、手持ちの提灯(ちょうちん)、旗(はた)、タイマツ、太鼓を載せるリヤカーなどを準備する。虫籠は雑木で骨組を作り、稲藁を用いて切妻(きりつま)に葺(ふ)いたもので、担ぐことができるように棒をさす。かつては麦藁を用いた。虫籠には紙袋に入れた青虫などの害虫だけでなく、蛇を入れたとも云うが今はしない。籠のグシには「悪虫送り」と書いた小旗(タンザク)を何本も挿す。手持ちの提灯は画用紙で作り、先頭の竹に下げるものもある。リヤカーには太鼓を載せ周囲を葉つきの雑木、造花などで飾り、結びつけたロープを年少の子どもたちが曳(ひ)く。以前は車を使わず棒に通した太鼓であった。
 午後7時半頃、行列が名入集落の上手(かみて)の境あたりから下手(しもて)に進む。その際、太鼓に合わせて掛け声を掛けるが、世代によって変化があり、戦前は「何虫もおーくれよ(ドンドン)、でんばら虫もおーくれよ(ドンドン)」であったと云う。
10年くらい前までは集落を通り抜け新しい道を通って、出発した場所の近くに戻り虫籠に火を付けて鉄橋から只見川に投げ落としていた。かつては集落を通って西方地区との村境まで行き、虫籠の中に使った道具などを詰め、それに火をつけてから崖から投げ落としたとも云う。

<『三島町の年中行事』記載のものを近年の変化を踏まえ、一部改稿>