鬼渡神社

 小山の集落に入り、急な坂道を歩いて一軒の民家に出ると裏から更に奥へ続く道がある。山道を進むと杉木立の中腹に古くて大きなお社がある。神殿の中を覗くと、“奉納 諏訪神社、鬼渡神社”の幕がかけられている。社の周りには杉の新しい切り株がいくつも見える。この神社は小山地区に住む方のお話では“鎮守様”と呼ばれ、毎年9月1日に神主を迎え近祷するという。例大祭のため、8月下旬頃に参道の道刈りが行われる。

 神殿の中に奉納されていた幕の通り二柱祀られているそうだ。お堂自体は明治20年に山火事で焼失。再建したものの、老朽化のため昭和38年に建て替えられた。

 戸数が少ない小山での鎮守様の再建について「ここは製材所があり、大工もいる。そして屋根葺き職人もいた。集落の力でできた」と地区の方は語る。

<奥会津書房『三島町散歩』より>