雪見のイチョウ


雪見のイチョウ

 天正元年(1573)に建立されたと伝わる諏訪神社の境内へ続く階段を上ると、樹齢400年のイチョウの古木がある。この神社が建立された同じ時期に、このイチョウが植えられたのだろうと云われている。
 
 境内の周りが杉の木で囲われているため、境内は隠れて見えない。雪見のイチョウも葉が黄色く色づかないかぎり、その存在を主張することはない。しかし紅葉の時期、境内に足を踏み入れると辺りはイチョウの葉の絨毯(じゅうたん)が敷き詰められ、見上げれば太陽の光に照らされた葉は黄金色に輝く。大人が三人手をつないで固めるほどの太い幹は、境内を包み込むように見下ろしている。イチョウの葉がすっかり落ちると根雪になるといわれている。

<奥会津書房『三島町散歩』より>