若水汲み


wakamizukumi

 正月の1日~3日に行われる家の行事であり、家毎に細かな違いがあります。文化財に指定されている桑原地区の某家では前夜、柄杓と水桶に松葉と昆布をつけ、布袋にオサゴメ(神仏に御供えする米)一升を入れて準備しておきます。早朝身支度を整え、当主は柄杓と水桶を、妻はオサゴメを持ち、家族全員が後について地区共有のミジヤ(水屋)に行き、手を清め、アキの方(恵方)を向いて手を合わせます。当主は水屋にオサゴメを3回まき、次に1回汲むごとに「何汲む 福汲む かねの柄杓で常の宝汲む」と唱えながら若水を柄杓で水桶に3回汲みます。
 若水は持ち帰って湯を沸かして茶を入れ、神棚と仏壇に供えるほか、炊事にも使います。若水を汲むのは家族の男子で、当主の都合が悪い時には子どもが汲みます。若水汲みに持参したオサゴメは普通の米とは別に保存、二日の若木迎えの時や、ハレの行事の際に少しずつ普通の米に混ぜて使います。