三島の民話 鬼子母神伝説

鬼子母神伝説

あの恐ろしい面相をした「鬼子母神」のことを語ります。

昔、ずっと昔、鬼子母神には千人の子どもがいただど。おっかねぇ面してるが、わが子のことはとてもめごがっていだど。だけんじょ、鬼子母神は人間のこめらんどご、さらってきては食っていたんだそうだ。

そんじぇ村の人だちは困っていたし、切なくて切なくて神様さ頼み事したど。神様は高い天から、鬼子母神のあり様を見ていなさったがら、ある時、鬼子母神の子どもを一人隠してしまっただど。毎日千人の子どものごど数えでいだ鬼子母神は、たった一人わが子がいないのに気がついでなぁ。気違いになって探しただど。

「おれの子がいねぇー。おれの子がいねぇー。だんじゃー、おれの子食ったのはー」

嵐と一つになって、村々探し回ったど。

「おれの子がいねぇー。一人たんにぇー。にしゃがぁ、おれの子さらったのはー」

とうとう神様んどごさ、飛び込んできたど。神様は、

「お前は千人も子どもがいながら、一人いないと大騒ぎする。人間の子どもはお前のように、そんなにいっぱいの子どもはいないのだ。それをお前は一人食い、二人食い、何人の人間の子を食ったのだ。食ってしまったら命が無くなる。大事な命がのぉ」

神様に諭され、神様が袖の下に隠しておいたわが子を返されると、鬼子母神は大粒の涙を流したど。

「今度は人間の子を食べてはならないぞ。食べたくなったらこれを食べろ」と神様は、鬼子母神にイチジクの実をくれただど。

そして鬼子母神はすっかり改心して「子育ての神様」にならっただど。

幼いころ聞いた「鬼子母神」の話です。

掲載協力者 長谷川三千代さん(川井)